NSC事業部の講習を受講されたガラスクリーニングを行われる方へ
- 小倉健二
- 2017年5月31日
- 読了時間: 3分
標記の件について、弊会の講習を受けた受講者の方が、GCA様のパトロールで指摘を受けました。 指摘を受けた内容は、アンカーとして車両を使用していたことです。
弊会の講習では車両をアンカーとして認めております。
それどころか、もっとも簡単で引張荷重の確認された強固な支持物として講習では伝えております。 (できれば車重は2t以上、オートマはP、マニュアルは万が一動いても安全な方、1速かR、サイドブレーキを掛け鍵を閉め鍵は自分で持つ。言うまでも無く動荷重テストを行う事が前提です。)
法律を見てみましょう。
法律ではアンカーは強固な支持物としか記載されておりません。 世界的にみてもアンカーに関する細かい規定は存在しません。 「人がぶら下がることを想定して作られてない」という理由で車両が使えなければ、設備機器や看板の基礎、鉄骨や鉄管までもが使用できなくなります。
そしてアンカーとして使用できるのは、人がぶら下がることを想定してつくられた丸環やU環だけになります。
(最近のビルでは丸環やU環が設置されていないことが多いです。)
プロの方はご存じだと思いますが、丸環やU環は安全ではありません。 丸環やU環、手摺りをアンカーとして使用するか、車両をアンカーとして使用するかを決めるのは法律上では事業者の役目です。しかし、決められた支持物を使用してそれらが破断した場合に落ちるのは自分です。
最近、墜落事故が多いですが、最終的に落ちるのは自分ですから自分の身は自分で守るしかありません。 (余談ですが、最近、クレーンにぶら下がって墜落している痛ましい事故がありましたが、動いているクレーンにぶら下がって良いのでしょうか。弊会ではクレーンを使用する際は、クレーンのエンジンを切ってクレーンをただの構造物して使用するように指導しております。)
そもそも、法律では足場が組める場所では足場を組まなくてはなりませんが、お金さえあれば足場を組めないビルはありません。 従いまして、足場の組めない45m以上の場所、更に高所作業車の届かない場所のみが、法律上ロープを使用したガラスクリーニングを行って良い場所となります。
今回、ガラスクリーニングを行う為に車両をアンカーとして使用していたとのことですので、パーキングが45m以上の場所にある場所となりますが、そんな高所にパーキングなどあるのでしょうか。
それはともかく、弊会の講習を受講しました方でガラスクリーニングを行われる方は、今後、車両をアンカーとして使用することは控えて下さい。
弊会では様々な試験、テストを行いその結果に基づきアンカーを選定し講習でお伝えしておりますが、ガラスクリーニングを行われる方は、車両以外の引張荷重15KN以上に耐えられる、人がぶら下がることを想定したアンカーを構築して下さい。 ゴールは100%墜落しない安全なシステムを構築し無事に作業を終えることです。くれぐれも安全作業で作業願います。 受講者の皆様及び関係各位にご迷惑をお掛けし誠に申しわけございませんがよろしくお願い致します。
(一社)ロープ高所作業協会 代表理事 小倉健二
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